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台湾映画『言えない秘密』感想とネタバレ解説:ヒロインは幽霊ではありません

台湾映画 言えない秘密 ピアノに寄り掛かる二人

まず、最初にネタバレではなく事実を言います。

ヒロインは幽霊ではありません。

なぜか幽霊だと勘違いしている人が多いみたいですね。

この映画に幽霊は出てきません。

ヒロインを幽霊だと思っている人は、この記事の解説を読んで、もう一度映画を観て下さい。

開始30分でオチが分かった

察しの良い人なら最初から結末が分かる

それが本当なら、あなたはジェイ・チョウを超える天才ですね!(笑)

なぜなら、ヒロインが幽霊ではないという事が分かるのが、映画が始まって1時間15分後だからです。

それ以前に幽霊ではないと分かったのなら、天才です。

しかし、あなたは幽霊だと勘違いしていますよね?

この記事を読んでも「ヒロインは幽霊なの!」と思っている、そこのあなた。

この記事のコメント欄に「私はここをこう解釈して幽霊だと思いました」とコメントして下さい。

あなたのどこが間違っているか、私が指摘します。

以下、映画の謎を解説します。

ネタバレありです。

5300文字を超える長文ですが、最後まで読めば映画の謎が解けます。

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目次

ネタバレ解説

幽霊ではなくタイムスリップ物語です

この映画は、よくあるタイムスリップ物語です。

典型的なタイムスリップ物語です。

1979年、ヒロイン(シャオユー)は音楽室でとある楽譜を見つけます。

音楽室の古いピアノでその楽譜を弾くと、1999年へタイムスリップしました。

  • ヒロインがピアノを弾いてタイムスリップしたシーン(教室内の配置が変わっていくシーン)
  • ヒロインが学校の先生に「そこは20年後の世界だった」と話しているシーン

この2つのシーンがありましたよね?

幽霊だと思っている人は、このシーンを何だと思ったのでしょうか?

別に何か意味があるとは思っていないし、覚えていないかな?

ヒロインは、あの古いピアノであの楽譜を弾く事で、

  • 自分の意志で
  • いつでも何度も自由に

1979年と1999年を行き来できます。

ヒロインと主人公が会っていたのは、ヒロインが1979年から1999年へタイムスリップして来た時。

幽霊として出て来たのではありません。

≪物語のあらすじ≫

1979年1月18日、ヒロインは学校の音楽室でとある楽譜を見つける。

音楽室の古いピアノでその楽譜を弾き終えると、なぜか室内の配置が変わっていた。

とりあえず本棚へこの楽譜を隠そうと、脚立に登るヒロイン。

そこに現れた主人公。

(これが二人が初めて出会ったシーンです)

ヒロインは学校内の生徒に話しかけるが、相手からの反応が何もない。

どうやら相手は自分の事が見えていないようだ。

学校内を歩いていた時、授業を受けている主人公を発見する。

主人公は、自分と同じ教室で授業を受けていた。

「すみません、遅れました」と言い、その教室へ入るヒロイン。

黒板の日付を見て、この世界が1999年1月18日である事を知る。

あの古いピアノであの楽譜を弾くと、タイムスリップできる事を知ったヒロイン。

それからほぼ毎日、ヒロインは1979年⇔1999年をタイムスリップする。

主人公に会うために。

(ここが映画前半で描かれている話です)

しかし、とある事がきっかけで、ヒロインはタイムスリップを止めてしまう。

それから5ヶ月後。

卒業式の日、久々に1999年へタイムスリップしてきたヒロイン。

(台湾の卒業シーズンは6月)

ヒロインは卒業式典でピアノを弾く主人公を見て涙するが、とある事からすぐに1979年へ戻ってしまう。

そして学校の自分の席で喘息の発作によりヒロインは息絶えるのだった。

ヒロインは「タイムスリップしてきた人」で、幽霊ではありません。

この程度の事も分からないようでは、どんな物語も分からないでしょうね

幽霊だと思っている人は、一体どこをどう解釈して幽霊だと思ったのでしょうか。

ちなみに「ヒロインは死んでいない説」(喘息の発作で倒れただけ)もあるみたいです。

公式見解を制作側が発表していないので、真実は分かりませんが。

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主人公にしかヒロインが見えない?

シャンルンにしか見えないのではありません。

シャオユーが1999年にタイムスリップした時に初めて見た人にしか見えないのです。

これは”毎回”です。

「毎回、自分が1999年に来た時に初めて見た人にしか見えない」というルールです。

美麗

このルール、映画内では分かりにくかったわね。

映画後半、シャオユーが学校の先生にタイムスリップした事を話すシーン。

シャオユーは「初めて見たのがシャンルンだったから、シャンルンにしか私が見えなかった」と言っています。

「いつもシャンルンにしか私が見えない」かのような言い方でした。

これは観客を惑わせるための演出の一つでしょうね。

108歩の意味

タイムスリップで1999年へ来た時に、自分が初めて見た人にしか自分が見えない。

それに気付いたシャオユーは、音楽室からシャンルンの教室までの歩数を目をつむって数えます。

自分が初めて見た人がシャンルンになるように

歩数は108歩でした。

シャオユーは目をつむり108歩歩いて、シャンルンの教室まで行き、目を開けます。

しかし、いつも上手くいく訳ではありませんでした。

「108」という数字に意味があるのかは分かりません。

煩悩の数かもしれないし、

ロケ地となった実際の高校で計ったら108歩だったのかもしれないし、

ピアノが弾ける人には分かる数字なのかもしれない。

物語を理解する上で、「108」という数字自体にはこだわらなくていいと思います。

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なぜシャオユーとチンイーが話していた?

チンイー(右)と話すシャオユー

ある日、シャンルンの席にチンイーがいました。

この時、シャオユーが初めて見た人はチンイー。

チンイーを見た直後、クラスメイトが走って来て「始まるぞ!」と言います。

みんなが走って行くので、着いて行くシャオユー。

シャオユー「何が始まるの?」

チンイー「ピアノバトルよ」

この時、シャオユーが初めて見た人はチンイーでした。

だからチンイーはこの時だけはシャオユーが見えたのです。

シャンルン目線では、ピアノバトルの時のチンイーは一人でしゃべっている状態でしたね。

なぜなら、この時、チンイーにしかシャオユーが見えていないから。

そして、別の日のダンスパーティー。

シャンルンはシャオユーと踊っていたと思っていますが、実際にはひとりで踊っていました。

卒業式の日、シャンルンはヤンキー男子に「シャオユーを見なかったか?」と聞くと、「誰?」と言われます。

「ダンスパーティーで一緒に踊った女の子だよ」と言うと、ヤンキー男子から「お前はひとりで踊っていたじゃないか」と言われます。

ダンスパーティーの日、シャンルンだけシャオユーが見えていた、というわけです。

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用務員のおじさん

学校の用務員のおじさんは、シャオユーの時代の1979年からこの学校で働いています。

シャオユーが先生に「タイムスリップした」と話しているのを盗み聞きしていましたね。

1979年では、おじさんは健常者でした。

このおじさんがなぜ1999年で障害者になっているのかは、映画の中では説明されていません。

しかし、台湾人の感想ブログに「おじさんが病気をしてシャオユーがお見舞いに行くシーンも撮影していたけど、時間の関係でカットしたらしい」とありました。

用務員のおじさんは病気をして「上手く話せない状態」になったという事ですね。

おじさんにはシャオユーが見える?

おじさんには見えるのではありません。

その時シャオユーが初めて見た人がおじさんだったのです。

シャオユーは音楽室から出て来た時に用務員のおじさんと鉢合わせします。

驚いて目を閉じるシャオユー。

しかし時すでに遅し。

おじさんは「帰るところだと思ったんだ、また失敗させちゃったね」と言います。

「また」と言っているので、こういう事は何度もあったのでしょう。

そしてそこに現れるチンイー。

シャオユーはチンイーが音楽室に入っていくのを見て、何があるのかと音楽室へ行きます。

そこで目撃するシャンルンとチンイーのキス。

ショックを受けたシャオユーは走って違う部屋へ隠れます。

「シャオユー」と言うおじさんの声で、シャンルンはシャオユーが近くにいた事を知ります。

シャオユーを探すシャンルン。

この時、おじさんが健常者だと、シャンルンにシャオユーがどこに行ったか問い詰められてしまうため、「上手く話せない状態」である必要があったと他のネタバレで読みました。

このシーンでシャオユーは違う部屋へ隠れていますが、この時はおじさんにしか見えていないので、隠れる必要はないんですよね(笑)

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「夜7時、音楽室で」のメモ

昼間の授業中、シャンルンは「夜7時、音楽室で会おう」というメモを回してもらいます。

シャンルンはシャオユーに回してもらったと思っています。

しかし、実際に受け取ったのはチンイー。

チンイーの席はシャオユーの前。

クラスメイトはチンイーに回すものだと思っていましたし、シャオユーの事は見えていません。

メモを開いた後、シャオユーが顔を上げますよね。

これは観客を騙すための演出です。

シャオユーの手元は映っていません。

そして夜7時の音楽室。

(先ほどの項目でも書いた話です)

チンイーが後ろを振り返ってからシャンルンにキスをしていますね。

これは「誰もいない、誰も見ていない」事をチンイーが確認しただけ。

この時、チンイーにはシャオユーが見えていません。

先ほど書いた通り、この時シャオユーが見えていたのは用務員のおじさんのみ

後ろにいるシャオユーに見せつけるためではありません(笑)

【シャオユーはなぜ夜7時にやって来た?】

ここが少し疑問なんですよね。

シャオユーはメモを見ていないのに。

自分がシャンルンを初めて見ないと、シャンルンは自分が見えない。

108歩、歩いて教室へ行く必要があるのに。

「夜7時にシャンルンが教室にいる」なんて事はないと思うのですが・・・。

まぁ、そこまで深く考えてはいけないのでしょうね。

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シャオユーの母親

いろいろなネタバレを読んでも、イマイチ分からないのがシャオユーの母親。

私は「シャオユーが死んだ事を受け入れられず、頭がおかしくなった」と思っているのですが、皆さんはどうでしょうか。

シャンルンがシャオユーの家に行った時。

母親は「娘は体調が悪くて寝ている」「娘は今音楽を聴いている」など、娘が生きているかのように言っていました。

シャンルンにシャオユーはなぜ学校に来ないのか聞かれて、母親は「とっくに”退学”した」と言っていました。

なぜ”退学”と言ったのでしょうか。

シャオユーは1979年に自分の高校の卒業式へ参加していたから、20年前に”卒業”しているはずなのに。

そして、1999年だとシャオユーは38歳。

学生という年齢ではありません。

制服を着た高校生が、38歳の娘を訪ねて来ているのに、母親は全く動じてないんですよね。

普通はその状況を不思議に思うはずです。

美麗

読者の皆さん。
シャオユーの母親に対する見解、ぜひこの記事へコメントして下さい。

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ラストシーン

高校の卒業写真が映り、この映画は終わります。

あのラストシーン、意味が分かりませんよね(笑)

ほとんどの人がそうだと思います。

ラストシーンは、下記のような解釈が自然かと。

いろいろなネタバレを読んで一番しっくり来たのがコレ。

あの曲を楽譜よりも「少し速く弾く」と1979年の今日に行ける。

しかし、シャンルンは「速く弾き過ぎた」

取り壊しが始まった音楽室で必死に弾いたため、速く弾き過ぎてしまった。

シャオユーがタイムスリップを経験する前の、もっと古い過去に行ってしまった

だからシャオユーに会った時、彼女は他人行儀だった。

1999年の音楽室はすでに取り壊されているため、元の時代には戻れない。

シャンルンは1979年を過ごす事にし、この世界で高校を卒業した。

これだけの事を卒業写真だけで推測するのは無理ですよ、ジェイさん(笑)

「少し速く弾く」がどのくらいなのかは、明かされていません。

例えばのイメージとして、

  • 楽譜を1.25倍速で弾くと、1979年の今日に行ける
  • 楽譜を2倍速で弾くと、1979年の今日よりもっと昔に行ける

と思って下さい。

1979年でそのままその時を過ごした。

「言えない秘密」を抱えているのはシャンルンになった。

というオチだと思えば綺麗にまとまりますね。

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すべての謎に意味がある、のではないのかも?

もしかしたらですよ。

”特に意味はないけど、なんとなくこの謎を入れただけ”という可能性もあります。

「観た人が、それぞれの感性で受け取ってくれればいい」みたいな。

窓から外をのぞく大人になったシャオユーっぽい人とか、「ただ何となくそういう謎を入れてみただけ」なのかもね。

そして、すべての辻褄を合わせようとするのはナンセンスなのかもしれません。

シャオユーはなぜ夜7時に来たのかとか、

シャンルンは1979年ではみんなに見えていたのかとか、

そんなに深く考えてはいけないのでしょうね。

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まとめ

日本リメイク版を見た人、ぜひ原作を見てください。

美しい映像と音楽、きっとあなたも好きになると思います。

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コメント一覧 (4件)

  • 公開当時台北で見ましたが、ラストシーンは最初から理解出来ましたよ。
    そして、湘倫は1979年にも皆に見えていたと思います。あの曲は未来に行く時だけ「最初に見た人にしか見えない」のではないでしょうか。小雨が過去に戻っても皆に見えていたように、過去へ行った時は見えるのだと解釈しました。

  • シャオユーのおかあさんは、錯乱してるのではなくて…シャンルンがタイムスリップする前は、いじめが原因で退学してるのでは?と思いました。
    シャンルンがタイムスリップしたことで色々な環境変化が起こって、退学せずに無事卒業することができたのでは?

  • 小雨の母親は、娘が亡くなったショックで精神障害になったんでしょうね。
    最初の登場は、小雨と湘倫がテラスに上がって行く際に小雨の部屋から外見てますが、男子高校生が自分の敷地内を通っているのに微動だにしていない(小雨は見えていなくて湘倫だけ見えている状態のはず)。普通なら不審者だと思って驚くと思います。
    次の登場は坂道でりんごを転がす所ですが、母親は小雨の喘息のために買って来たんですよね。小雨が居る妄想で。
    次は何故授業に来ないか尋ねた時、小雨は体調が悪くて寝ていると言ったが、実際15日学校に来なかった時は体調が悪かったんでしょうね。退学したって言ったのは、もう来ないでほしいと思ったのでとっさに言ったのか?
    最後、小雨の部屋に入れてくれた時は、妄想と現実を行き来している状態だったのかなと思いました。

    母親が小雨はもう退学したって言った時の、湘倫が帰るシーン、小雨の部屋から湘倫を追っているんですよね。あたかも小雨が見ている感じで。本当に小雨が居たのかも? 考え過ぎか。。。

  • 今日は、はじめまして。
    私はこの映画が凄く好きでDVDも購入して事ある毎に観ています。
    私も疑問に思った事が沢山あって、このブログに到達しました。

    私が一番気になっているのは、最後の卒業写真。
    シャオユーとシャンルンの髪型が微妙に違う事です。

    あれはシャンルンがかなり前にタイムスリップしてしまい、シャオユーは彼と知りあう事でイジメもなくなり明るく変化したので髪型も変わった?
    そしてシャンルンの方は、79年で生活しているうちにこの時代の髪型に変化した?
    …という事でしょうか?

    それとシャオユーのお母さんは狂っている訳ではなくて、娘を亡くした為に多分精神が混乱してしまっているのだと思いました。

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